憲法手帳雑記 2008年5月  

壊憲・国民投票法体制を撃つ!5・21集会     5月21日(水)午後6時30分・文京区民センター 
板橋高校卒業式事件「藤田裁判」控訴審判決   5月29日(木)午後3時〜4時半・東京高裁102
◆5月31日(土)
 裁判を受ける権利という。3審制度ともいう。しかし、刑事事件で原審判決を覆すのは難しいことらしい。ことにいみじくも法廷でKさんらが国策裁判じゃないか!と投げつけたとおり、国策を金科玉条とする今の裁判所では、現象を見ないことへの躊躇はもとより、人の行為の奥にある背景を見ることはしない。裁判前日の日記に藤田先生のセーター姿のことを書いた。控訴審公判中弁護側尋問では藤田さんの人柄をわかってもらうためさまざまな質問をしたが、私も初めて聞く事実が多かった。式服が病人の寝ている部屋に仕舞ってあった。ばたばたしたくなかったし、10・23通達にふさわしい服装でとあったから、普段着で参加したという。もちろん批判をこめてである。それを向こう側は「初めから式を妨害するつもりで」という根拠とする。言いたいことは、このセーター姿の詳細ではなく、裁判における審理というものが、その事件の最中には見えていない人の人間性などをつまびらかにすることで、違法な都教委の「10・23通達」への意見を表明せざるをえない、藤田さんにとって絶好の場面での「事件」の全体像を改めて描くということなのではないかということです。その中でこの場合の被告藤田さんを守るのは憲法21条だということが導き出される。しかし、判決は「……だとしても」「……そうであっても」の連発である。ならば、裁判を受ける権利というのもむなしいではないか。弁護側の努力、証人たちのたいへんな勇気で明らかにした事実も何も汲み取ってはいないではないか。初めに結論ありきで、量刑だけを審理するのでは。3年4年とこの裁判につきあってきて、当時、藤田さんがこんなことで逮捕なんてとんでもないとただ夢中だったが逮捕はされなかったものの、起訴となり、公判になって、一審判決罰金20万円(あるいは40日の拘留)とされて、そのほかの関連裁判の状況から見えてくるのは、結局今の日本の裁判所は腐りきっているということだ。少なくとも、裁判所では民主主義は息をしていない。あきらめずここまできた。ここであきらめないというのはどういうことか。どうしていくのか。明日は、判決をうけての座談会が行なわれる。
◆5月30日(金) 
 昨日の藤田裁判控訴審判決についてはパワーサイトをご覧ください。判決要旨と弁護団声明がアップされています。約90分かけて読み上げた判決全文の半分以上は、控訴審での新たな弁護団側の証言をいかに潰すか苦心した痕だけが歴然としています。その部分は判決要旨では省略されています。傍聴された証言者も怒りをあらわにしていましたが、私も傍聴していてあきれてしまった。そもそも事実認定が恣意的。どのような証言に対しても、田中(教頭・当時)がこういっていることと整合しない、信用できないと切って捨てる。反対に田中の行為については極めて自然、信用性が高い、田中供述のとおりの事実があったと認定したことに誤りはない、と強弁する。藤田さんに対する退去要求自体の正当性などはこの判決では証明されていない。弁護側の主張の「保護者への呼びかけは、教職員及び保護者の思想良心の自由を都教委及び北爪らによる侵害行為から防衛するためになされたもので正当防衛に該当するというものに対し、要旨2違法性阻却事由に関する主張について(2)のAで、そもそも保護者は、本件卒業式の国歌斉唱時において、起立・斉唱することを「都教委及び北爪ら」から、法的にはもとより事実上も強制されるような関係にはないから、「保護者の思想良心の自由」にたいして、弁護人が主張するような「都教委及び北爪らによる侵害行為」は全く存在しないというほかない。(のへりくつも相当おかしいが−保護者への本件呼びかけは、防衛行為としての適性を欠くという)との関連で、3 (弁護側の)憲法21条違反の主張についての判決文は、「…であっても、その手段が他人の財産権、管理権等の権利を不当に害することは許されない。…北爪は、関連法規が規定する職責に基づき、「国歌斉唱の際、生徒、教職員をはじめ、列席の来賓や保護者にも起立を求める」ことを服務本件実施要綱を作成するなどの準備を整えた上…」とあるのは、自然に考えれば、弁護側主張を裏付けるものじゃないか。しゃあしゃあと同じ事実を白黒と使い分け10・23通達に基づく強制は保護者にも及ぶということにまで踏み込んでいるのか、と思う。「公共の福祉」は言葉の使い方の誤り(最近はやりだが)。「他者の権利」(北爪の権利)も然り。国家権力に立ち向かっている者の前に、小役人北爪の権利を対置し、校長・北爪の管理権を脅かしたから「威力業務妨害」に誤りはないとしたもの。これが高等裁判所の判断かねえ。判決文を読めばおかしないいまわしばかりで、こちらの頭もおかしくなるが、藤田さんは、そんな「権力に立ち向かう」なんてことを考えていたわけじゃない。10・23通達で、本当に教員や学校がたいへんなことになっていくなんとか保護者にもしらせて少なくとも、あの卒業式で不起立をする教員がいた場合、それは板橋高校でなくても、なんとか理解をして、応援してやってほしいという気持から出たことだろう。ささやかな、実にささやかな行為だ。勇気と声だけが大きかった。罰金刑は違う。あらためて素直な感想だ。
そうそう、よく裁判長が判決を(悪い判決ほど)読み捨てて、ぱっと法衣を翻して扉の向こうに消える、傍聴者唖然という光景を経験したが、今回は、国策裁判だ! これが高等裁判所か! 作文が幼稚だ! 何も憲法判断をしていないじゃないか! 暗黒裁判だ! ふざけるな! ……と続いた。最初の一言「控訴を棄却する」のあと、なぜかタイミングを外し、90分も理由にならない理由を聞かされた後だけに、「退廷させるならしてみろ」という気分だった。なぜか裁判長、制止もせずに睥睨していた。官吏はまるで舞台を守るように柵の前に並んだ。入廷前ボディチェックはいつにもまして厳しく、ズボンポケットの飾りボタンや財布の鈴にまで反応してピーピー鳴った。
◆5月28日(水)
 明日、板橋高校卒業式前に「日の丸・君が代」強制に警鐘を鳴らす発言をしただけで、威力業務妨害罪罰金20万円事件控訴審の判決言い渡し。これ、式が遅れたのはTBSの取材もあって、生徒の待機など通常ではない段取りだったため。それでも2,3分。板橋高校ではこんなことはざらだったという。もともとTBSの取材は来賓の都議を追いかけてのもの。しかも、当の藤田先生は式場を追い出されて式が始まる時にはすでに帰路についていた。その様子はテレビでも何度も報道された。先生はセーター姿。卒業式だというのにという方もいた。しかし、例の悪名高い10.23通達では式での服装まで細かく定めていたのだから、その異常さに対する抵抗であった。そのように表明された意見というものに賛否両論あってしかるべきだが、これが刑事事件で罰金刑ということになるとことは大問題である。方や、まさに式中、歌いたくない生徒に「歌え」と怒鳴ったのは来賓の議員だ。気分を害した保護者も大勢いる。この議員のはなった質問で、東京都の「日の丸・君が代」強制はあっけなく一線を越え、処分、解雇、嘱託採用取消、拒否、命令と服従の貫徹、と怒涛のように教育現場を荒らしまわることになった。この間の裁判で、役人どもも偽証もなんのそのやっきになってこの馬鹿げた芝居をすすめてきた。さて、いや事件発端を第一幕として、東京都の教育という壮大な演目のなか進行するこの芝居の三幕目はどのように終わるのか。
◆5月26日(月)
 昨夕、25日は長女の誕生日ということもあり、練馬の彼女らの住まいにちょっとおじゃました。なんでもあるうちなのか、なんにもないうちなのか、見にきただけよ、ということで。真っ白い壁に、「天空の城ラピュタ」のジグゾーパズルの完成品が大小バランスよく飾ってある。連れ合いのギター練習室は防音のため、部屋の中にもう一つ部屋を作ってあって完璧。二人のやさしい気持ばかりがよく表れたつつましい暮らしぶりがうかがえる。今日はその長女と赤羽郷にある大恩寺に墓参してきた。一昨日24日が私の父の命日だった。祖父母の墓もここにある。私の兄は56歳で亡くなり、父と一緒にいる。父のためだけにお墓参りをするのは久しぶりだった。
◆5月23日(金)
 恒例の第3週から4週にかけての7日間、無事終了。こういう地味な仕事は苦手ではないかと思っていた長女が助っ人で、思いのほか美しい、早い仕上がりにびっくり。娘達と作業をしていると、馬鹿話も多いけど、さすが長女は人生経験が少し長いだけあって、まともな話も聞かせてくれる。ジェネリックというのは後発医薬品の総称なんだそうだ。だけど、黒柳徹子なんかがCMでやっているのを見てもわからない。私の主治医はジェネリックに変えてもいいですよ、でも、効果が証明されていないのも多いから、変えたら教えてください、という。CMだけが先走っているが、薬局の現状ではなかなか対応できないことも多いらしい。というような話題も元薬局のお姉さんらし。ともあれ、黙々と作業をしている娘達を見ると、なんとも言えぬ想いがこみ上げてくる。21日には、約束どおり、夜、鉄建公団訴訟主任弁護人加藤晋介さんの講演「国鉄闘争と改憲阻止闘争をつなぐもの」、神田香織さんの講談を聴いてくることが出来た。韓国山本争議でお世話になった面々にもお目にかかれてよかった。また久しぶりに合間のシングアウトで「たたかいはいつも」を歌った。岩野君がギターを弾いた。この歌、国労高崎の方が昔、「反マル生闘争」という言葉が生きていた時代に作ったものだけど、歌詞の3番まで、今の気持そのままに歌えるものだ。
◆5月14日(水)
 封切りが待ち遠しかった映画「相棒」をやっと観た。フィクションとはいえ、よくまあとりあげた。爆弾が登場するのはいやだけど、話の筋は通っている。映画「靖国」では自民党の稲田なんとかの提唱で国会議員で事前鑑賞会をやったらしいが、さしあたり外務省あたりが「相棒−劇場版」を観る会でもやったらどうだろう。雨宮かりんさんが『闘争ダイアリー』という本を集英社さんから出版した。夫の撮影した写真を使うのでちゃんとお断りがきて本も送っていただいた。夫曰く「声を出して笑っちゃうほど面白いよ」とのこと。早く読んで貸してね。実はパラパラとめくって拾い読みしたのだけど、雨宮さん、最近『蟹工船』を読んだのですって。で、そうブログに書いたら、「『蟹工船』を読んだとはえらい」と褒められたそうな。だからみんな『蟹工船』を読んだって言うと知らない人から褒められる、なんて都市伝説ができたりして…という一文があった。一方で、佐高信さんの、小林多喜二さんをもう共産党は私物化しないでというような発言に『赤旗』が反論している。雨宮さんに『蟹工船』を手にさせたのはそのような次元ではないだろう。「プロレタリア文学」という括りには文字通りの意味と一定の歴史的条件の中で規定された意味がある。雨宮さんはごく自然にプロレタリアの文学に接していこうとされたのだと思い、彼女の最近の一連の発言とともにとても好ましいと感じました。もう一人、好ましいというかあこがれるのは講談の神田香織さんです。5月21日には「改憲・国民投票法体制を撃つ!」とした集会がありますが、加藤晋介弁護士の講演と、神田さんの『国鉄労働者義士伝(千、四十七士ぽっぽやぎしでん)』の講談を聞きに行きます。このあたりはわが工房は超多忙なのですが、3時間だけ外出を願い出た次第です。
◆5月12日(月)
 次女のコンサートへの花束は、そのまま母の日のプレゼントになりました。長女は毎年必ずバラの鉢植えを贈ってくれます。三女は新垣勉さんのコンサートチケットを用意してくれました。一緒に行こうねというのが嬉しい。先日テレビの歌番組で新垣さんが「長崎の鐘」を6,7番ぐらいまでの歌詞を歌っているのを観ました。永井隆博士のこともテロップで流れていました。今日たまたま岡部企画さんから演劇『長崎の鐘』のご招待が舞い込み、ほう、と思った次第。雨です。嘱託採用拒否裁判報告集の出荷が続いています。
◆5月11日(日)
 昨夜は江戸川文化センター大ホールでのリヴィエール吹奏楽団の定期演奏会。次女は、この定演で、中学時代から13年続けた吹奏楽に一区切りつけるつもりらしい。それで、またみんな揃った。友人たちも来てくださって。聴きに行った甲斐があった、という言い方は失礼かもしれないが、とても素晴らしい演奏会でした。娘はコントラバス奏者です。故小山孝さんから生前譲り受けた楽器がすばらしい響きでした。客演のサキソフォン奏者須川先生の演奏も、初めての味わい、まろやかな音色にうっとりしました。深夜戻った彼女は舞台での仕事人のような表情は消え、晴れ晴れとして片付けをしていました。終わった、と何度もつぶやきながら。ところで、三女はアルトサックスですが、マイ楽器は横になったまま。また再開したらいいのにね。連日の取材の激務でこの娘は折角来てくださったお付き合いしている相手の肩にもたれてZZZ…、いやはや…。
◆5月6日(水)
 9条世界会議が5月4(日)〜6(火)日、千葉幕張メッセで開催されました。新聞にも書かれているように、もう大変な参加者の数で、方角的にもあまり行かないところだったのと、人の多さにまず疲れてしまった情けない次第です。ブース出展することになっていたので、9時集合というのに、なかなかブース会場のコンベンションホールにすんなり入れなかったのです。憲法を生かす会の仲間たちが警備や案内をやっているのですが、どうもはっきりしない、わあ、こりゃ大変だなというのが的中。ものすごい長蛇の列ができ始め12時半ごろには知り合いがどんどん帰り始めているのです。「入れないんだって」「えっ〜、ならブースに寄って下さいよ」「どこにあるんだかわかんないよ」「案内しますよお」。もうアリーナのほうは長女が来たら行こうとあきらめて、手帳の販売に集中しましたが、少し離れたところで週刊金曜日が「もう5月だから、この手帳はあげます」なんて書いて、売れ残りを置いているのです。うちは「5月からバージョン」を売っていたのですが、どうも歩が悪いったら…。でも、嬉しい出会いがここでもいくつかありました。Kさんがピースボート仲間を連れてきて、「まず、9条アンケートやってね、そのあとこの君が代解雇裁判の署名だよ、それから憲法手帳を買って、大間の本も全部見て…」という強引なことを言っているのに、その女性はにこにこしながら手帳を見て、「私、週刊金曜日のをつきあいで買ったんだけど、作った本人がいるのならねえ」と赤いカバーのをお買い上げ。「こっちのほうが元祖なんだ」とまで言ってくれて。君が代解雇裁判の署名を見て、「あっ!シー坊だ」って。「あ、いや、シー坊、ですかあ」と私としては、イメージを結べないその原告の方を思い浮かべてしまったのです。Kさん曰く「ピースボートでさ、航海中、みんなあだ名で呼び合うんだよ。僕は『やせ』だから」「はあ」というわけで。聞けば彼女は青森の方だというので、私も調子に乗って「もしかして藤川さんって知ってる?」というとあっさり「知ってるよお」というではありませんか。挙句の果て、こんど、お見舞い行こうなんて約束までしてしまって、私ってもう…。それにしても「日の丸・君が代強制問題を取り上げているブースは「スペース板橋」だけ。藤田先生の顔写真入りの控訴審判決に向けたチラシをしっかり配布。初日の夜は長女と長女の連れ合いのミュージシャン、次女と座席を並べることができました。三女は仕事、四女はお昼のどさくさに紛れて逃亡…でしたが手帳づくりには力を貸してくれたのだし、家族のゴールデンウィークとしてはまあ上出来でしょう。(おっと、9条世界会議の報告は、是非サイトでご覧ください。二日目も分科会などに参加した方々が本当に晴れ晴れとした表情でよかったよと話していってくれました。)
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